渋沢栄一の詠んだ漢詩283首と和歌383首が収録されています。この本も渋沢栄一の孫にあたる渋沢敬三氏がまとめられ、当社に印刷をご依頼いただき、昭和38年に角川書店から発行されました。
2021年のNHK大河ドラマは、渋沢栄一の生涯を描く「青天を衝け」が放送されています。このタイトルになった「青天を衝け」は渋沢栄一の漢詩の一節から取られたようで、第7回「青天の栄一」にもその漢詩にまつわるエピソードが描かれました。
「青淵詩歌集」において「青天を衝け」が出てくるのは29ページの8行目です。青年の頃に、従兄で漢詩の師でもあった尾高惇忠と共に訪れた、信州の「内山峡」を読んだ漢詩の一部です。前後3行は次のようになっています。
奇巖怪石磊磊横 奇巖(きがん)怪石(かいせき)磊磊(らいらい)トシテ横フ
勢衝青天攘臂躋 勢ハ青天ヲ衝キ臂(ひじ)ヲ攘(はら)ツテ躋(のぼ)リ
気穿白雲唾手征 気ハ白雲ヲ穿(うが)チ手ニ唾シテ征(ゆ)ク