本書は、ベネディクト会の創始者聖ベネディクトゥスと、その妹聖スコラスティカおよび弟子の聖マウルスの聖句集であり、大祝日の前夜、夜を徹する礼拝のために用いられた「聖祝祭のための読誦集」です。
礼拝堂で典礼に用いるために集成し完成されたこの手写本は、学術的に極めて価値の高い歴史的文献であるとともに、11世紀イタリア美術の傑作ともいうべき優れた作品とされています。
ヴァティカン図書館に所蔵されているこの文献を、1980年に聖ベネディクトゥス生誕1500年を記念して複製、発行されたものがこのファクシミリ版で、国際限定版600部のうちの293番になっています。
この本は、故笹氣直三（元企画室長）が個人で所蔵した資料ですが、笹っぱ活字館の開設にあたり、印刷のみならず神学、宗教学、西洋古典、美術史などの研究に貴重な史料となる書籍なので、興味がある多くの人に目にしてもらえた方が良いだろうと、故人の遺志を推察し、展示しているものです。
