活字は主に鉛の合金で作られていましたが、歴史的には、木を彫って作った木活字や、陶器でできた陶活字も文献に残っています。
笹っぱ活字館に展示している陶活字は、当社におりました故笹氣直三(元企画室長)が中国の文章に載っていたものを、陶芸家の方にも手ほどきを頂き、試行錯誤を繰り返して再現したものです。
陶活字をバレンで写し取った印刷物は、戦前、当社の従業員でもあった詩人、有村裕の作品「あぶら土」です。
陶活字とその実際の印刷物を同時に見比べることができる貴重な展示となっています。
陶活字のひらがなの書体は、1598年刊行のキリシタンの書で、漢和辞書の「落葉集(らくようしゅう)」という本の字体にしています。
漢字については、「『落葉集』の漢字は『行草書体』といわれた難読の文字だったため、陶活字の漢字は『楷書』にして、私流にさせていただいた」と作者の笹氣直三は記録に残しています。
しかしながら同じ書体でも文字は手彫りなので、同じ文字でも微妙に形が異なり、独特の味わいを生んでいます。
木製の活字。
使用頻度の少ない文字や見出しなどの大きな文字に木活字を使用することもあります。